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MOTONAGA

結論|行動経済学はGoogleリスティング広告に活用できる

行動経済学は、Googleリスティング広告の改善を考えるうえで活用できます。

なぜなら、Googleリスティング広告では、検索した人が広告を見て、クリックするかを判断し、LPを読み、他社と比較し、最終的に問い合わせるかどうかを判断しているからです。

つまりGoogleリスティング広告は、単に広告を表示する仕組みではなく、ユーザーによる小さな意思決定が何度も繰り返される仕組みとも考えられます。

そして、人間がどのように判断し、なぜ必ずしも合理的ではない選択をするのかを研究してきたのが行動経済学です。

ただし、「損失回避を使えば問い合わせが増える」「アンカリングを使えば売れる」といった単純なものではありません。

MOTONAGAでは、行動経済学を広告成果を保証するテクニックではなく、検索ユーザーがなぜその行動を取ったのかを考え、広告改善の仮説を立てるための視点として捉えています。

行動経済学とは?

行動経済学は、人間が常に合理的に判断するとは限らないことを踏まえ、実際に人がどのように判断し、選択するのかを研究する分野です。

この分野を語るうえで欠かせない研究者の一人が、心理学者のダニエル・カーネマンです。

カーネマンは2002年、心理学研究の知見を経済学へ取り入れ、特に不確実な状況における人間の判断と意思決定について研究した功績によって、ノーベル経済学賞として知られる「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」を受賞しました。[1]

カーネマンは、共同研究者のアモス・トベルスキーとともに、人間の判断に生じるさまざまな偏りを研究しました。

たとえば、最初に見た数字がその後の判断に影響する「アンカリング」や、利益と損失では同じ金額でも心理的な受け取り方が異なることなどです。[2][3]

こうした研究は、「人間は与えられた情報をすべて冷静に比較して、常に最も合理的な答えを選ぶ」という単純な人間像では、実際の意思決定を十分に説明できないことを示してきました。

『ファスト&スロー』で描かれた人間の意思決定

カーネマンの研究を一般向けにまとめた代表的な著書が『ファスト&スロー』です。日本では早川書房から刊行されています。[4]

『ファスト&スロー』では、人間の思考を理解するための枠組みとして、直感的で素早く働く思考と、注意や努力を必要とするゆっくりした思考が説明されています。

私たちは、買い物をするたびにすべての商品を一から計算し、あらゆる情報を比較しているわけではありません。

広告を見るときも同じです。

検索結果には複数の広告や自然検索結果が並びます。その中から「これは自分に関係ありそうだ」「ここなら問題を解決できそうだ」と判断し、クリックします。

その判断には、価格だけでなく、言葉の見せ方、最初に目に入った情報、他人の評価、失敗する可能性への不安など、さまざまな要素が関係している可能性があります。

ここに、行動経済学とGoogleリスティング広告を一緒に考える意味があります。

Googleリスティング広告は「意思決定の連続」である

Googleリスティング広告から問い合わせまでの流れを分解すると、ユーザーは何度も判断しています。

  • 何を検索するか
  • どの広告を見るか
  • どの広告をクリックするか
  • LPを読み続けるか
  • 他社と比較するか
  • 問い合わせるか

広告運用ではクリック率やコンバージョン率などの数字を見ますが、その数字の裏側では一人ひとりのユーザーが判断しています。

検索から問い合わせまでの意思決定フロー

だからこそ、広告管理画面の数字だけではなく、その数字を生み出したユーザーの意思決定を見る必要があるとMOTONAGAでは考えています。

広告文にも行動経済学は関係する

同じ内容を伝えていても、情報の見せ方によって人の受け取り方が変わることがあります。

これを考えるうえで重要なのが「フレーミング効果」です。

トベルスキーとカーネマンは、同じ問題でも情報の提示方法によって人の選択が変化することを研究で示しています。[5]

たとえば「年間12万円」と伝える場合と、「1日あたり約329円」と伝える場合では、示している金額はほぼ同じでも、ユーザーが受ける印象は異なる可能性があります。

また、「今なら5,000円割引」と伝える場合と、「期間終了後は5,000円高くなります」と伝える場合も、経済的な差額だけを見れば同じ5,000円ですが、利得として見せるか、損失として見せるかという違いがあります。

表現 行動経済学の視点 ユーザーの受け取り方
年間12万円 基準となる総額 高く感じる可能性
1日あたり約329円 フレーミング 負担を小さく感じる可能性
今なら5,000円割引 利得 得する印象を持つ可能性
終了後は5,000円高くなります 損失回避 失うことを意識しやすい

※ 表現による受け取り方は、検索意図や状況によって異なります

ただし、「1日あたり」と書けば必ず反応が良くなるわけではありません。

検索している人の目的や商品、価格帯、競合との比較状況などによって受け取り方は変わります。

重要なのは、行動経済学の理論をそのまま広告テクニックに変換するのではなく、広告文を考えるための仮説として使い、実際の広告データで検証することです。

LPではさらに多くの意思決定が発生する

広告をクリックした後のLPでは、さらに多くの判断が発生します。

LPの要素 ユーザーが判断していること 関係する行動経済学の視点
料金 高いか、安いか アンカリング・フレーミング
実績 この会社を信頼できるか 社会的証明
料金プラン・選択肢 どのプランを選ぶか 選択過多
口コミ・お客様の声 他の人はどう評価しているか 社会的証明
問い合わせボタン 今、行動するか 損失回避・現在バイアス
会社情報 安心して問い合わせられる相手か 不確実性・曖昧性の回避

※ LPの各要素と行動経済学の概念が、一対一で対応するわけではありません

たとえば、最初に見た価格が、その後の価格判断の基準になることがあります。これはアンカリングという視点から考えることができます。[2]

また、選択肢が多いことが必ずしも良いとは限りません。

シーナ・アイエンガーとマーク・レッパーは、選択肢が多い場合よりも、選択肢が限定されている場合の方が実際の選択や購入につながりやすいケースを実験で報告しています。[6]

ただし、その後に行われた複数研究の統合分析では、選択肢が多いことで常に意思決定が悪化するわけではなく、選択過多の影響は条件によって大きく異なることも示されています。[7]

つまり、「料金プランは3つにすれば売れる」といった万能ルールではありません。

サービスの複雑さ、ユーザーの知識、価格、比較のしやすさなどによって結果は変わります。

LP改善でも、ボタンの色やファーストビューのデザインだけを見るのではなく、ユーザーがページの中で何を見て、何を判断し、どこで行動を止めているのかを考える必要があります。

行動経済学を使えばGoogle広告の成果は上がるのか?

必ず上がるとは言えません。

ここは、行動経済学をGoogle広告に活用するうえで非常に重要です。

Google広告の成果は、広告文だけで決まるわけではありません。

Googleは広告ランクについて、入札単価だけでなく、広告やランディングページの品質、オークションの競争状況、検索されたときの状況など、複数の要因から決まると説明しています。[8]

さらに、広告をクリックした後の問い合わせや購入には、価格、サービス内容、競合、ブランド認知、LP、地域、ユーザー自身の状況など、広告管理画面の外にある要因も関係します。

そのため、「損失回避を広告文に入れればコンバージョン率が上がる」「アンカリングを使えば問い合わせが増える」と断言することはできません。

行動経済学から導けるのは、あくまで改善仮説です。

その仮説をGoogle広告の検索語句、広告文、クリック率、コンバージョン、LPでの行動などと照らし合わせながら検証する必要があります。

MOTONAGAが行動経済学とGoogle広告を一緒に考える理由

Google広告の管理画面を見ると、表示回数、クリック率、クリック単価、コンバージョン率など、多くの数字が並んでいます。

もちろん、これらの数字は広告改善に欠かせません。

しかし、数字だけを見ていると「なぜその数字になったのか」が見えなくなることがあります。

クリック率が低い。

では、なぜクリックされなかったのか。

LPにはアクセスされている。

では、なぜ問い合わせなかったのか。

検索語句、広告文、LP、料金、比較材料、問い合わせ導線。

その一つひとつの間に、人間の判断があります。

MOTONAGAでは、Googleリスティング広告を「数字を調整する作業」だけで捉えるのではなく、検索した人がどのような情報を見て、なぜクリックし、なぜ比較し、なぜ問い合わせるのかという意思決定まで含めて考えます。

そのための視点の一つとして、行動経済学を広告運用やLP改善に取り入れています。

まとめ|行動経済学は広告テクニックではなく、ユーザーを理解するために使う

行動経済学は、Googleリスティング広告に活用できます。

ただし、心理効果の名前を広告文やLPに当てはめれば成果が上がる、という意味ではありません。

検索から問い合わせまでには、ユーザーによる複数の意思決定があります。

行動経済学は、その意思決定を理解し、広告改善の仮説を考えるための視点になります。

MOTONAGAでは今後、フレーミング、損失回避、アンカリング、選択肢、社会的証明などについて、Googleリスティング広告やLPで実際にどのように考えられるのかを、研究と広告運用の両方から検証していきます。

Google広告とLPをまとめて見直したい方へ

Google広告でクリックは発生しているのに問い合わせにつながらない場合、原因が広告管理画面の中だけにあるとは限りません。

検索語句、広告文、LP、比較材料、問い合わせ導線まで、一連の流れのどこでユーザーの判断が止まっているのかを確認する必要があります。

MOTONAGAでは、Googleリスティング広告の運用だけでなく、LP制作・改善まで含めて、問い合わせにつながる流れを一緒に見直しています。

現在のGoogle広告やLPに課題を感じている方は、MOTONAGAまでご相談ください。

参考文献・出典

この記事では、行動経済学・意思決定研究の原著論文、書籍、ノーベル賞公式情報、Google公式情報を参考にしています。

  1. ノーベル賞公式サイト「2002年 経済学賞 ダニエル・カーネマン」。心理学研究の知見を経済学へ統合し、特に不確実性下における人間の判断と意思決定に関する研究が評価された。
  2. アモス・トベルスキー、ダニエル・カーネマン(1974)「不確実な状況における判断:ヒューリスティックとバイアス」『サイエンス』185巻4157号、1124~1131頁。DOI:10.1126/science.185.4157.1124
  3. ダニエル・カーネマン、アモス・トベルスキー(1979)「プロスペクト理論:リスク下における意思決定の分析」『エコノメトリカ』47巻2号、263~291頁。DOI:10.2307/1914185
  4. ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』村井章子訳、早川書房。
  5. アモス・トベルスキー、ダニエル・カーネマン(1981)「意思決定のフレーミングと選択の心理」『サイエンス』211巻4481号、453~458頁。DOI:10.1126/science.7455683
  6. シーナ・アイエンガー、マーク・レッパー(2000)「選択肢が多すぎると意欲は低下するのか」『パーソナリティと社会心理学ジャーナル』79巻6号、995~1006頁。DOI:10.1037/0022-3514.79.6.995
  7. ベンジャミン・シャイベヘンネ、ライナー・グライフェネダー、ピーター・トッド(2010)「選択肢は多すぎることがあるのか:選択過多研究のメタ分析」『消費者研究ジャーナル』37巻3号、409~425頁。DOI:10.1086/651235
  8. Google広告ヘルプ「広告ランクについて」。

※ 行動経済学の研究結果が、Google広告やLPでもそのまま同じ効果を生むことを保証するものではありません。MOTONAGAでは、これらの研究を広告改善の仮説を考えるための参考情報として扱い、実際の広告データをもとに検証することを重視しています。

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